【薬剤師が教える】ワセリンと日焼け

市販薬

皆さんが1度は使ったことがある保湿剤。

ワセリンにについてと日焼けとの関係性について説明させていただきます。

ワセリンについて

ワセリンとは

石油から精製された保湿剤です。

肌に薄い膜を作り、肌から水分が蒸発するのを防いでくれます。

石油が原料だと聞くと、肌に良くない印象を受けるかもしれませんが、天然成分である石油を高純度に精製することで、肌に刺激の強い不純物はほとんど取り除かれているため、刺激性が少なく、赤ちゃんから大人まで使いやすいといわれています。

ワセリンは、精製度によって色が異なるのが特徴です。

一般的に、純度の低いものは黄色味を帯び、純度が高くなるほど白色になります。
精製度の高い「白色ワセリン」は医療機関でも扱われているほか、薬局・ドラッグストアでも購入可能です。
白色ワセリンの中でも特に高純度の製品は、「プロペト」「ベビーワセリン」などと呼ばれています。
不純物の含有率が低いため刺激が弱く、アトピー性皮膚炎の方や、肌がデリケートな赤ちゃんにも使用できると考えられています。

ワセリンの副作用

一般的には、ワセリンの使用による副作用は出にくいとされています。

大量に体内に摂取した場合は、吐き気や下痢などを引き起こす可能性がありますが、手や口に付着したワセリンが食べ物を介して口に入る程度なら問題はありません。

荒れた唇の保湿や、口紅の下地としても安心して使えます。また、ワセリンの使用によるアレルギーの心配もほとんどないといわれています。

ただし、肌の弱い人が純度の低いものを使用すると、かぶれなどのトラブルが生じることがあります。使う前に二の腕の内側に少量を付け、肌が赤くなったりかゆくなったりしないか、確認してから使用するように

 

ワセリンの使い方

ワセリンは、肌の表面に膜を作り水分を蒸発させないように保護する役割を果たします。

赤ちゃんだとオムツからおしりを保護したり、大人でも衣服による擦れ、繊維の刺激から体を保護する目的で使用していただければと思います。

ワセリンだけで肌に水分をプラスすることはできません。
先に、水分や油分の入ったアイテムで保湿ケアを行ってからワセリンを重ねて塗るようにしましょう。
ワセリンは常温では固形状のため、手のひらに取って少し温めてから塗ると薄くのばしやすくなります。
なお、ワセリンに炎症を抑える作用はないので、強いかゆみや痛みなどの症状がある場合は、医療機関を受診するか、薬剤師に相談しましょう。

 

 

日焼けとは

紫外線には、
波長が長く、皮膚の奥「真皮」にまで届き、シミやたるみの原因になるUVA(A波)、
波長が短く、皮膚の表面で炎症を起こし、日焼けの原因となるUVB(B波)
があります。

日焼けは、長時間太陽に当たることで生じる現象です。

 

日焼け止めとは

反射膜や紫外線吸収膜を塗布することで作成し、紫外線によるダメージを軽減するしてくれる商品です。

紫外線反射剤

昔から白粉などに使われていた酸化亜鉛、酸化チタンなどが主成分で、安全性は比較的高いとされています。
「ノンケミカル」などと表示されている日焼け止めは、紫外線反射剤だけを使用しています。肌にはやさしいのですが、微粉末を顔につけることになるので、色が白っぽくなることや、こまめな塗りなおしが必要になるという欠点があります。

紫外線吸収剤

メトキシケイヒ酸オクチル、オキシベンゾンなどの有機化合物で、化合物の種類によって吸収できる紫外線の種類が異なります。色がつかないこと、強力な紫外線カット効果が期待できる長所があります。
しかし、皮膚表面での発熱や、発熱時の化学反応により紫外線吸収剤の分子が壊れることで肌に有害な物質が生じることもあり、肌のトラブルの原因になることもあります。

 

パッケージで見かける「SPF」と「PA」

SPFとは、「Sun Protection Factor」の略で、UV−Bに対する防止効果を示すものです。

SPFの数値は、日焼け止め化粧品を塗った場合、塗らない場合に比べて何倍の紫外線を当てると、翌日に肌がかすかに赤くなるかを示しています。数値が大きいほどその防止力が高まります。
1時間くらいの買い物・散歩など⇒SPF10
3時間くらいのスポーツ・レジャーなど⇒SPF30
5時間以上の海水浴場など炎天下でのレジャー⇒SPF50
のような感じで時間で選んでいただくといいかと思います。

 

PAとは、「Protection Grade of UVA」の略で、UV-Aに対する防止効果を示すもので、「+」が多いほど防止力が高まります。
1時間くらいの買い物・散歩など⇒PA+
3時間くらいのスポーツ・レジャーなど⇒PA++
5時間以上の海水浴場など炎天下でのレジャー⇒PA+++
のような感じで時間で選んでいただくといいかと思います。

「SPFもPAも数値が高いものを選んでおけば安心でしょ?」と思うかもしれませんが、それはちょっと待って。日焼け止め選びで大切なのは「どのくらいの時間、紫外線を浴びることになるのか」「TPOを考えて!」ということなんです。「面倒だから数値の高いものに…」というのはあまりいただけません。特に乾燥肌や敏感肌の方が、数値だけで日焼け止めを選ぶと肌に余計な負担がかかり、肌トラブルを引き起こすモトになります。

日焼け止めとワセリンの関係について

やっと本題ですね(笑)

白色ワセリンを厚塗り(0.3㏄/25㎠)で塗って24時間紫外線に当たったらどうなるかを研究した方がおり、結果としてUVAもUVBもブロックする効果があると報告されています!
※もっとオススメなのは20%サリチル酸ワセリンですが市販はされていません。

グリセリンやオリーブオイルでは同じ厚さで塗ってもブロック効果はないようなので、ご利用中の保湿剤の成分はよく確認してください。

塗り薬で日焼けしやすくなると考えておられる方もいるかと思いますが、そんなことはなりません!

まとめ

敏感肌、肌が弱い方、荒れてしまっている方は、ワセリンでしっかり保湿することで日焼け止めと同様の効果を得られるので、無理に日焼け止めを使う必要はありません!

しっかりとUVBを対策することで、皮膚表面の炎症を軽減することが出来るので症状も改善しやすくなります!

夏は暑く、ワセリンはべたつき気持ち悪いかもしれませんが、夏程しっかりと使用してください!

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