小さいお子さんはよく風邪をひいたりしますよね!
受診したら漢方が出て困ったことがある方が多いのではないでしょうか?
漢方について今回はお話していきます。
漢方の考え方(六病位:ろくびょうい)
漢方には六病位という考え方があります。
病気の状態を「陽病」「陰病」に分け、さらにそれを3つに分け三陰三陽(さんいんさんよう)といいます。
六病位はかつての感染症の感染症のモデルですが、一般的な「風邪症状」にも参考になると思います。
陽病:生命力が充分にあり「病気と闘っている状態」。
発汗剤、清熱剤、下剤などを用いて、病邪を攻めながら治す。
陰病:生命力が弱り、病邪に体内まで入られ、悪寒の中心状態。
補用いて生命力を補いながら治す。
発病を縦軸に三陰三陽をお伝えしていきます!
発病
↓「太陽病期」:陽病のはじめ。悪寒、発熱、頭痛をと伴い身体の表に熱がある状態。
↓
↓「小陽病期」:陽気(闘う力)が少なくなり、病が(身体の)表から裏にまたがった状態。
↓
↓「陽明病期」:陽病が最も明らかになり、胃腸系の炎症が強く、病気の症状が1番激しく現れる
↓ 時期。
↓
↓「太陰病期」:陰病のはじめ。胃腸系の冷え。
↓
↓「少陰病期」:生命力が弱まり、熱が出ず、ずっと寝ていたい状態。腎・膀胱系の冷え。
↓
↓「厥陰(けついん)病期」:生命力が尽きようとしている様態。
死
という流れで症状の進行を考えています。
・太陽病期は抵抗力があり免疫が活性化されている。
・少陽病期に移行すると、症状が長引き、食欲不振や口の中の苦みなどが続く。
・陽明病期に移行すると、お腹の張りや便秘症状が出現し始める。
小児に使われることが多い漢方と特徴
麻黄湯
おもな症状:発熱
構成生薬:麻黄、桂皮、杏仁、甘草
味のイメージ:シナモンの風味と杏仁と甘草が入っているので甘味はありますが、麻黄の苦い味も少しあります。
小建中湯
おもな症状:風邪
構成生薬:芍薬、桂皮、大棗、甘草、生姜、膠飴
味のイメージ:膠飴と甘草が入っているので甘味はありますが、シナモンの風味と生姜が入っているので辛みがあります。
桔梗湯
おもな症状:のどの痛み
構成生薬:甘草、桔梗
味のイメージ:癖はほとんどなく甘みがあります。
竹筎温胆湯(ちくじょうんたんとう)
おもな症状:インフルエンザ後の止まらない咳
構成生薬:柴胡、竹筎、茯苓、麦門冬、陳皮、枳実、黄連、甘草、半夏、香附子、生姜、桔梗、人参
味のイメージ:甘草が入っているのでわずかに甘味はありますが、ミカンの皮の風味と生姜が入っているので辛みがあります。トータルでは渋い印象です。
小柴胡湯
おもな症状:発熱、咽頭痛
構成生薬:柴胡、半夏、黄金、大棗、人参、甘草、生姜
味のイメージ:甘草が入っているのでわずかに甘味はありますが、生姜が入っているので辛みがあります。トータルではわずかに甘い印象です。
大建中湯
おもな症状:便秘
構成生薬:山椒、人参、乾姜、膠飴
味のイメージ:膠飴が入っているので甘味はありますが、乾姜(生姜を乾燥させたもの)と山椒が入っているので辛みがあります。トータルでは甘くて辛い印象です。
五苓散
おもな症状:車などの酔い止め、気圧の変動による頭痛
構成生薬:沢瀉、猪苓、茯苓、蒼朮or白朮、桂皮
味のイメージ:トータルではわずかに辛い印象です。
黄耆建中湯
おもな症状:アトピー性皮膚炎
構成生薬:芍薬、黄耆、桂皮、生姜、大棗、甘草、膠飴
味のイメージ:膠飴と甘草が入っているので甘味があり、生姜が入っているので辛みがあります。トータルでは苦くて甘い印象です。
六君子湯
おもな症状:乳幼児の吐き戻し
構成生薬:人参、蒼朮、茯苓、半夏、陳皮、大棗、甘草、生姜
味のイメージ:生姜が入っているので辛みがありますが、トータルでは甘い印象です。
抑肝散
おもな症状:夜泣き
構成生薬:当帰、釣藤鈎、川芎、蒼朮、茯苓、柴胡、甘草
味のイメージ:甘草が入っているので甘みがありますが、トータルでは甘くて渋い印象です。
小青竜湯
おもな症状:花粉症、アレルギー性鼻炎
構成生薬:半夏、甘草、桂皮、五味子、細辛、芍薬、麻黄、乾姜
味のイメージ:甘草が入っているので甘みがありますが、トータルではわずかに酸味があって甘い印象です。
漢方を服用するうえで理解してほしいこと
漢方には「即効性があるもの」と「ゆっくり効くもの」があります。
構成生薬の種類が多いほど、効き目がマイルドで効果もゆっくり現れます。
構成生薬の種類が少ない麻黄湯などは、即効性があるので服用期間は短くてOK。
漢方はだらだらと飲み続けないようにしてください。
漢方を美味しく飲みやすくするための工夫
〈乳幼児〉
・漢方を少量の白湯で練り、上あごやほっぺの内側につける方法。
・味わう前に、すぐに母乳やミルクを飲ませ流し込む方法。
(溶けきれないときは、電子レンジで少し温めてみてください)
ガムシロップや単シロップを加えると甘みが増し飲みやすくなります♪
冷やすと美味しさUP!
・ココアやアイス、ジャムなどの甘いものに混ぜると飲みやすくなります。
カレーやみそ汁、海苔の佃煮、マヨネーズなど、ドロッとしていて味が濃いものと混ぜるのが
オススメです!
お薬を飲ませるお父さん・お母さんなどへ
小児の漢方薬は、男女で飲む量を変えたり、体重や体表面積で用量設定をすることもありますが、実は根拠はありません。
中国では通常量の3倍で処方することもあるくらい、服用量はかなりの幅があります。
既製品の一袋を2回や3回に分けて飲むことがありますが、多少多く飲んでしまっても問題はありません。ただし、体調変化があれば医師に相談はして下さい。
また、錠剤がのめるくらい成長されて、粉の味が嫌な時は、市販を含め医療用でも錠剤タイプもあるので薬剤師や医師に相談してみてください!
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