小児や乳児で便秘気味の方は処方されることがあるモビコールという処方箋医薬品についてです。
小さい子の便秘が起こりやすい時期と対策
乳児と小児が便秘を起こしやすい時期は3回あります。
1回目。シリアルや固形食が乳児に開始された時。
⇒母乳や哺乳量の不足・食事内容の変化が主な原因。
⇒対策としては、「自力でがんばらせず、肛門刺激から始める」
2回目。トイレトレーニング中。
⇒2~4歳は、便秘発症のピークだと言われています。この時期は、イヤイヤ期もあるので 自我が芽生え、いろいろなことにこだわりを持ったり、食事が偏食気味になったりします。トイレトレーニングによる我慢もあり、出にくくなりやすいようです。
⇒対策としては、生活指導や食事指導だけでなく、薬物治療との併用です。個々にあった治療を探してあげましょう。
3回目。入園・入学前後。
⇒教育機関では、環境の違いから緊張が続くことで腸の動きが悪くなることに加えて、小児がトイレに行ける時間が決まっていますので、さらに排便を我慢してしまうため、便秘になりやすいです。
⇒対策としては、毎日(長くても3分)トイレに座る習慣づけが効果的。
緩下剤の特徴
・酸化マグネシウム。大腸における水分の吸収を抑制します。
便がさほどたまっていないのに緩下剤を飲むと、びちゃびちゃの便が出るだけなので、タイミングを計る必要はあります。使用しすぎると、高マグネシウム血症になってしまうので、悪心・嘔吐,口渇,血圧低下,徐脈,皮膚潮紅,筋力低下,傾眠等の症状が出るようであれば中止して受診を。
・大腸刺激性下剤と呼ばれる、センナ、プルゼニド、大黄、アロエなどです。
毎日服用して4カ月、時々の服用でも9カ月で(大腸メラノーシスを生じ)、飲んでも効果が得られなくなってしまいます。若い人は、安易に長期のセンナ系はやめといたほうがいいです。
高齢の方は、刺激に鈍感になってくるので使われることが多いですが、やはり長期使用で効果が得られなくなってしまう人が多いです。
新薬として4種類の薬が存在します。
・リンゼスは、腸粘膜を刺激し、腸液の分泌を促します。下痢になることがあるようです。
・アミティーザは、小腸に作用して腸液の分泌を促します。吐き気嘔吐が出ることがあります。
・グーフィスは、腸管のベルトコンベアーの働きを強めます。腹痛、下痢が出ることがあります。
・モビコールは、水分に溶かして飲むことで水分を腸に届け、便を柔らかくして排泄しやすくします。副作用が少ないです。
出口の便秘には、レシカルボン坐薬や、浣腸が効果的です。
おなかが張っているからと言って浣腸をしても効果がなかった人がいるのは、タイミングなどを間違っているからです。
指を入れて確認する人もいますが、肛門付近の皮膚と違って、腸管内の粘膜は柔らかく、爪などで腸管を傷つけ感染症になってしまうこともあるのでやめたほうがいいです。
便秘は子供のうちに治す!
便秘が慢性化すると将来的に便排出障害型便秘になりかねないので小さい頃から治療した方がいいです!
私も思春期以降から便秘で年を重ねるごとに悩んでいました。
幼少期からなのかは親に聞けてはいないのですが…(笑)
「小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン」がありそれに沿って治療していくのが一般的です!
便は大腸に長くとどまると水分が吸収されるので硬くなり、排便が困難になり、直腸に便塊がたまると腸内に便が滞留してしまいます。
便塊によって、直腸が常に伸展した状態になると便意が感じにくくなり、排便が困難になる悪循環になってしまいます。
治療は大きく2ステップあり、便塞栓除去⇒維持療法という流れです。
step1 便塞栓除去
便塞栓とは、硬くて大きな便塊が栓となって肛門をふさいでしまうことです。
排便困難を起こし、便塊の脇から便の液体成分だけが染み出す「漏便」が起こることもあります。
下着が汚れて、便臭がするので、学童期の子供のいじめの原因になり得ます。
「下痢」と大人は勘違いすることもあるそうなので気になれば早めに受診をしてください!
便塞栓はどう除去するのか!
⇒主にグリセリン浣腸を行う。
家で保護者が行う場合は、小児用量の浣腸を1日1回3~5日間連続して使用するといいようです。
step2 維持療法
便の方さを医師などと共有しやすくするための一般的な指標です。
6⃣以上の緩さになっているのであればスキップして様子を見ていただければと思います。
モビコールが出た時のポイント!
最近は副作用が少なく、刺激の少ないモビコールがよく出ますので、こちらについて話してきます。
混ぜてはいけない飲料はありませんが塩味を緩和できるものがいいのではないかと思います。
飲めないときは医師に違う薬にしてもらうように相談してみてください!
オススメなのは「Newヤクルト」!
・1本が65mlで誤差範囲内の量であること。
・乳酸菌飲料でおなかにやさしいということ。
・味が濃いので塩味が気になりにくいこと。
モビコールの用量の調節方法
減量した方がいい場合
ブリトスケールの6⃣以上は、減量(2包飲んでいるのであれば1包に)、休薬(1報ずつ飲んでいるのであれば飲まない)にしてください。
脱水してしまうことがあるからです。
便の方さが戻ってきたら通常量から再開を!
増量した方がいい場合
医師から指示がある量を服用していても排便がない場合
・1包ずつ増やす
・2包以上服用するときは朝と夜に分けて服用する
・ブリトスケール2⃣以上の硬さが判断基準
便が出るタイミング
トイレできばっても出ないときは、一旦その場から離れて、
リラックスしてみるのもいいかもしれません。
力みすぎは、脳出血や、高血圧、痔のリスクを高めますので無理はしないように!
治療中断を起こさないようにするためには
排便回数が増えてくると中断してしまいやすいのですが、服用しているから排便があるわけで自己判断中止してしまうと、また便塊が出来てしまい治療が最初からになってしまうこともあります!
排便日誌をつけて、毎日同じ時間に排便が出来るようになると治療卒業の目安とは言われていますが、医師とよく相談してから中止は行うようにしてください!
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