【薬剤師が教える】 保湿剤の選び方

市販薬

加齢とともに体内水分量は減り、乾燥しやすくなります。
私も年齢とともに保湿をする範囲が増えてきて悲しいですが、
しっかりと保湿をすることでいいことがたくさんあります!

生まれたての赤ちゃんでも乾燥しやすい子もいます。
人のケアって大変ですがしっかりとしてあげることでアトピー予防にもなるので
選び方をお伝えしたいと思います。

買う前に確認して欲しいポイント!

  • 傷やただれてはいないか。
  • 皮膚の乾燥が重度ではないか。
  • 皮膚の乾燥以外に強い症状(赤み・湿疹・化膿など)がないか。
  • 疾患や服用中の薬、サプリメントなどが乾燥の原因として疑われないか。
  • アトピー性皮膚炎の治療中ではないか

これらの人は、市販薬では対応が出来ないので受診していただきますようお願いします。

 

乾燥の原因は?

空気の乾燥(湿度の低下)紫外線などの物理的要因、アトピー性皮膚炎・透析など疾患由来の時もあります。

生まれたばかりの赤ちゃん(乳幼児)は、生後数ヶ月を過ぎると過剰だった皮脂分泌が低下し、乾燥しやすくなります。
(※生まれて数ヶ月は皮脂の分泌が過剰と言いましたがゴシゴシ洗う必要はありません!)

高齢者は加齢に伴い皮脂や角質の水分保持能力が低下するので乾燥しやすくなります。

 

冬は気温が低下し、空気中の水分量が減り、乾燥しやすいです。
その中、暖房をつけるのでより乾燥しやすくなります。
夏も汗が出た後やお風呂上りに保湿をしないとエアコンによる風で乾燥します。
空気中の水分が多い季節なので気づきにくいですが保湿は1年中行うべきなのです!!!
油断できるときはないのです…

肌がカサカサ荒れているということは、肌のバリア機能が壊れている状態なので乾燥やホコリ・花粉など目に見えないものが付着しただけでかゆくなりやすいです。
大人でもかゆみを我慢するのは大変だと思います。子供はなおさらです。
荒れている状態でお風呂に入ると血行が良くなり、かゆみが増しやすくなります。
かくとかゆみが軽減したような気になりますが、摩擦も熱を帯びるのでかゆみの原因を増やす要因になります。

赤くなったり、ぶつぶつしていない状態であればすぐ保湿をしましょう!

赤みや湿疹のような症状があればステロイドが必要かもしれませんので受診を。

 

クリームと軟膏など剤形の違い

保湿剤の成分の話の前に剤形について。

  • 軟膏
    油分が多いので皮膚柔軟作用があり、刺激性が少ないのでとても使いやすいですが、べたつくのが難点ではあります。
  • クリーム
    軟膏より油分が少なく、水分が多いので水で洗い流せる上、べとつきがなく塗りやすい。
    浸透性が高いですが、カサカサ・ジュクジュクしているところに使うとしみます。
  • ローション
    乳液のような使い心地なので使用感がよく、のばしやすい。
    顔や頭髪によく使われますが、アルコールを使用しているため、しみることがあります。
  • スプレー
    化粧水のような使い心地なので大変さっぱりとして夏場は使いやすいかと思います。
    全身などの抗範囲にワンプッシュで噴霧出来るのと逆さにしても使えるので背中にも使いやすいです。ただ、さっぱりしている分保湿持続力が弱いのでこまめに使っていただくのがいいかと思います。私は、冬はミストが寒いのでローションにしています。笑

 

保湿剤の選び方

    • 医療用医薬品でもよく使われる、ヘパリン類似物質が入ったものはオススメです。
      ヘパリン類似物質は持続性の高い水分保持作用や血行促進作用、抗炎症作用があります。
      剤形もクリーム・ローション・スプレーなどいろいろあり、塗る範囲や使い心地などで使い分けることが出来ます。
      ただし、ただれやジュクジュクしているのであれば使用は注意してください。
      出血性血液疾患の患者様は使用は出来ません。(血行促進効果があり止血しにくくなるため)

       

       

    • 白色ワセリン
      水分保持作用はありませんが、皮膚に被膜を作るので水分の蒸発を防止し、外部からの刺激から皮膚を保護します! オムツの摩擦から守るのでオムツかぶれの時などお薦めです。
      刺激が少なく、ただれた部位にも使用できますが、油性のためべたつきます。
      白色ワセリンとプロペトはほどんと同じです。
      白色ワセリンから不純物をなくし赤ちゃんでも使える刺激が少ないものをプロペト・ベビーワセリンなどと呼びます。

 

  • 尿素
    水分保持作用と角質軟化作用があるので、乾燥によるかさつき・硬くなった手やかかとにはおすすめです。ただし、傷口や炎症部位に使用すると大変しみます。

 

ザーネメディカルスプレーは、医療用のヘパリン類似物質外用スプレー0.3%「日医工」と中身は変わりません。医療用に近いものを希望されるのであればおすすめです。

 

 

保湿をするだけでも大きく改善しますが、かゆみが強い時にはかゆみ止めが配合されたものがいいかと思います。
かゆみ止め単剤でも売っていますので、保湿剤は家にある人は重ね塗りにて様子を見てください。
重ね塗りが面倒という人は配合品を選んでみてください。

 

ケアのポイント

お風呂上りにタオルで体をふいて、5分以内に保湿するのがおすすめです。
お風呂は湿度が高く、肌も表面にたっぷり水分を含んでいますのでそれを逃がさないように保湿をしてください!

体を洗うとき、硬いナイロンのスポンジなどでこすりすぎていませんか?
肌のバリア機能が低下し乾燥しやすくなります!
しっかりと洗えた気がして気持ちいいのですが、ご注意ください。
毎日お風呂に入っているのであればゴシゴシ洗う必要はありません!

浴用タオルもやわらかいものを選びましょう。かゆいからと全身を強くこすって洗う人がいますが、それではもちろん逆効果です。また、最近「手洗い」がはやっていて、常に手で洗うだけで、タオルでまったく洗わないという人がいます。しかし、手だけでずっと洗っていると、角質つまりアカが十分に落ちずに肌に残っていきます。角質が厚くたまると、うるおしても十分にいきわたらず、かえって乾燥する原因になります。ある程度角質は落とした方がよいので、週に一度くらいはタオルで洗いましょう。
体を洗う頻度ですが、毎日せっけんで洗うと洗いすぎになります。夏でも1日おき、冬は2~3日おきでよいでしょう。毎日浴槽につかることはよいですが、せっけんを毎日使うことは控えましょう。」吉木 伸子 : 皮膚科・美容皮膚科医院長
医師も、洗う頻度などについて解説されていますので気になる方は色々調べてみてください。
保湿効果の高い入浴剤を入れることは大変お薦めですが、お風呂上がりの保湿をしなくていいわけではないので注意を!

商品名が似ていても中身が違うことがあるので注意を!

医療用の「ザーネ軟膏」の成分は、”ビタミンA”ですが、

医薬部外品の「ザーネクリーム」は、”ビタミンE”と”グリチルリチン酸2カリウム”です。

 

第2類医薬品の「ザーネメディカルクリーム」は、”ヘパリン類似物質”です。

 

同じザーネでも中身が全く違うので使い心地や症状の経過が変わってきてしまいます。
成分は確認してから購入してください。

わからなければ、登録販売者や薬剤師に相談を!

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