医療用のアセトアミノフェンの製品の1種である、商品名:カロナール。
病院で、頭痛や整形の痛み、発熱があるときによく処方されます。
皆さん人生で1回は飲んだことがある成分だと思います。
症例
膝の痛みで整形に受診しカロナール300㎎ 1回1錠 1日3回で処方されていたが、
痛みの緩和不良のためカロナール500㎎ 1回1錠 1日3回に増量になりました。
痛みは緩和してきたが、服用開始してから約1週間したところで体幹のかゆみと発赤が出現。
なぜ、かゆみと発赤が出来てしまったのでしょうか?
カロナールが増量になったことによる副作用ということだけではなく、
もう少し細かく考えてみましょう!
カロナールで皮疹が出来た理由
カロナールの添付文書より抜粋↓
3.1 組成
販売名 | カロナール錠200 |
有効成分 | (日局)アセトアミノフェン |
1錠中 | 200mg |
添加剤 | 乳糖水和物、結晶セルロース、部分アルファー化デンプン、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、ステアリン酸マグネシウム、香料 |
販売名 | カロナール錠300 |
有効成分 | (日局)アセトアミノフェン |
1錠中 | 300mg |
添加剤 | 乳糖水和物、結晶セルロース、部分アルファー化デンプン、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、ステアリン酸マグネシウム、香料 |
販売名 | カロナール錠500 |
有効成分 | (日局)アセトアミノフェン |
1錠中 | 500mg |
添加剤 | ステアリン酸、アルファー化デンプン、ポビドン、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム |
上記のように、同じメーカーの同じ薬でも、規格・含量によって添加物が異なります!
500mgに含まれるポビドンは、ポリビニルピロリドンと呼ばれる高分子化合物で、結合剤や被膜・懸濁化剤として添加物に使用されています。
ポビドンは、他にも消毒薬のポビドンヨードしても使われています。
ポリビニルピロリドン(ポビドン)は、まれに蕁麻疹などのアレルギー症状を発現することが報告されています。
血液透析においても、ポリスルホン(PS)膜ダイアライザーのポリスルホン素材は疎水性で、ポリビニルピロリドンをコーティングすることで親水化させています。
その結果、ポリビニルピロリドンが血中に溶出することで、透析中の急激な血圧低下や血小板減少などが出現する事例が、日本透析医学会などで報告されています。
カロナール500mg以外でポビドンが入っているものは?
カロナール500㎎以外には、アセトアミノフェンDS40%「三和」には含まれています。
※ちなみに、アセトアミノフェンDS小児用20%「三和」には含まれていません。
粉タイプなので、お子さんや錠剤の服用が難しい方、高齢の方などで処方されることがあります。
もし同一名称であれば、皮疹の原因は添加物にあると言えます。
対策とまとめ
今回の症例であれば、安易に疑義照会をして変更依頼し、副作用出現歴のある成分と決めつけるのではなく、規格変更・メーカー変更の提案をしてみるのがいいのではないかと思います。
錠剤の数が増えるのが嫌な場合は、アセトアミノフェン500mg「マルイシ」:ポビドンを含まないので検討してみていただくのがいいかと思います
余談 ~製剤の性状~
添付文書より、
カロナール錠200:白色の割線入り錠剤で、わずかにメントールのにおいがあり、味は苦い。
カロナール錠300:白色の素錠で、わずかにメントールのにおいがあり、味は苦い。
カロナール錠500:割線入りの白色の素錠。
添加物だけでなく、割線の有無、メントールの有無もあり、ややこしくもありますが面白い製品です!
メントールがさわやかで苦みや頭痛などのほてりを緩和してくれる感じがして好きという人もいます。500mgには入っていないので1回の錠数が増えてしますが、他規格2錠にしてもらうのがいいかと思います。
アセトアミノフェン500mg「マルイシ」は香料が入っているので苦みの性状の記載はないですが、メントールは入っていないのでさわやかな感じはないかと思います。
患者様にあった商品を選んであげるといいかもしれませんね!
ただ、薬局としては同じ薬がたくさんあるのは悩ましいですけどね(笑)
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